【40代からの起業】さよなら pantrii

株式会社Parchie（2019年9月設立 代表 神崎陸 東京都渋谷区宇田川町12-3-1002）が運営するpantriiという会員制通販サイトがあります。コストコの会員制の哲学をオンラインに取り入れたというECサービスです。

私はここの会員でもなく、買い物したこともありませんが、daus labとして出店することになっていました。企業情報や商品情報を提出し、pantriiへの登録を待っているところでした。
ところが、どうやら2023年5月にサービス終了したようです。pantrii側からはなんの連絡もありません。

pantriiとは

コスメを中心とした会員制のECモールです。

• 月額350円の会費で定価より安く商品の購入ができる会員制EC（会費をとることで小売マージンを取らないビジネスモデル）
• 商品仕様後も可能なお試し返品制度
• 累計会員数は2022年10月に5,000人を突破　アプリダウンロード数 2.5万突破
• 2022度見込み売上高1億円
• 出店者からは手数料を取らず、その分他モールより安く商品を販売させる

コスメがほとんどで、若干の食品や家電があります。まだできて間もない為、他のモールと比べると会員数も売上規模もかなり小さいです。

pantriiの現状

2023年6月現在、アプリの商品は全て「在庫なし」になっています。
公式サイトは存在しておりますが、特にアナウンスはありません。個別にもアナウンスはありません。アプリでの買い物ができない状態ですので、ECモールとして機能しておらず、担当者のメールアドレスが削除されている（送信できなかった）ことから、運営側も運営していない状態であることがわかります。

twitterには、pantriiは債務超過状態である、サービス終了などと記載があります。

会員には個別にサービス停止の連絡があったようなので停止は間違いなさそうです。

会員の方（消費者）の悲鳴が多く見られますが、出店者も困っているはずです。
一店舗として出店している場合、当月（4月）の売上金はpantriiにありますから、翌月（5月）請求書を送り、支払いが行われます。5月のサービス停止までの間に請求・支払いが行われていればいいですが、そうでなければ最悪回収できないという事態にもなりかねません。
pantriiへ商品を納品している（pantriiがメーカーや卸から買取）場合もあるようですが、その場合も同様です。

私は出店には至っていないので被害はありません。

pantrii出店の経緯

■2022年11月上旬
当店はQoo10にも出店しておりますが、そこの店舗情報を見て、メールでアプローチがありました。
家具、インテリア用品を販売してほしいとのことです。

■2022年11月中旬
オンラインミーティングにて打ち合わせ

最初にメールをいただいた方から担当者が代わりました。現役大学生のインターンだそうです。
事前に送ってあった質問に回答してもらい、出店条件を詰めて出店することに決まりました。

質問と回答は以下の通りです。

出店条件としては

• 他モールへ出品している価格よりも安くする（2~5%くらい）

くらいなので特段障壁はありません。

• 手数料、出店料は無料、決済手数料は2年間無料でそれ以降は3.6％

ですので、他モールより安くしても利益率は高くなります。3.6％取られたとしてもどのモールよりも激安ですので、大きなメリットです。

デメリットは

• 商品代金は請求書を発行して処理
• CSVなどの一括編集機能は無
• 売上高1億円、会員数5,000人程度の小規模モール

家具・インテリアの初出店だということで、競合もなく、手数料もないので利益率が高くとれます。販売力もありませんが、会員制なのでうまく行けばブルーオーシャンです。その分、請求書の発行やら一括編集機能が無いやらで運営の手間はかかります。

先行者利益で儲かりそうだなという甘い考えで出店することにしました。
この時、株式会社Parchieがどのような会社なのかは調べましたが、ネガティブなものは見つかりませんでした。

pantriiとのやりとり

■2022年11月下旬

今まで出店条件を打合せしていたセールス部署から、商品登録や配送に対応するパートナーサクセス部署に代わりました。

パートナーサクセス部署より商品データ登録シートの案内
↓
商品データ登録シートの入力
↓
商品データ登録シートの提出
↓
データを確認後、管理画面を案内

商品データ登録シートはGoogleスプレッドシートを使っています。
わかりにくいところは質問しながら進めましたが、いかんせんこの部署の担当は返事が遅い。営業担当経由で催促して、4日後くらいにやっと返事がきます。その後、なんとか商品データ登録シートの記入を済ませて提出しました。

■2022年12月上旬

提出した商品データ登録シートの修正依頼が来ました。
割引率と画像アドレスについてでしたが、割引率は営業担当と決定した割引率を記入していましたし、画像アドレスも見本の通り入力してあり、不備が見当たらないのでどうすればいいのか、と返答しました。
またまたこの担当は返事をよこしてきません。また来ないんだなぁと呆れていると5日後に「連絡が遅くなってしまい、本当に本当に申し訳ございません。」と稚拙な返信がきました。「この担当者大丈夫か？」「この会社大丈夫か？」と心配になったのを覚えています。修正依頼については先方で対処することになりました。

■2023年1月中旬

年が変わってしまいましたが、12月の商品データ登録シートの修正以降、何の進捗もありませんでした。家具やインテリアは1月から4月が良く売れますので、それに間に合わせようとお互い打合せしていたにも関わらずです。
年が明けて、担当が代わる案内がありました。

担当が代わって商品登録が進むことを期待しました。
しかし、見事に期待は裏切られます。

■2023年1月下旬

価格変更があったので、商品データ登録シートを新売価に修正し、新担当に再度提出しました。
商品登録を進めていく旨の返信が1週間後にありました。やはり新担当も連絡がろくにできない人でした。社風でしょうか。
1週間程度で登録完了し、管理画面を案内できるということでしたが、いつまで経っても案内はありませんでした。またまた見事に期待は裏切られます。

■2023年3月下旬

完全になめているメールがきました。
かなり嫌な気分になったのを覚えています。

既に昨年11月に勧誘を受け、出店打ち合わせを完了し、パートナーサクセスと商品登録のやり取りをしており、2月以降パートナーサクセスからは何のリアクションもない旨を伝えました。

この人は進捗状況を確認してすぐに返事をくれました。
商品登録を外部に出しているとかで、あと2週間で登録完了するということでしたが、いつまで経っても案内はありませんでした。またまた見事に期待は裏切られます。
結局、出店しないまま終了となりました。

Pantriiの販促

■2023年4月上旬

完全になめているメールを送ってきた人から２つの販促のご案内をいただきました。
まだ出店できていないのに。
販促の前に商品登録だろ。
無神経な人（会社）です。

当然、いづれの販促もやっていません。

• 販売店向けアフィリエイトプログラム
  販売店がSNSを通じて集客、会員の斡旋をし、Pantriiに登録したお客様の数 × ¥1,000を、売上金として振込むプログラムです。

このアフリエイトプラグラムに参加し、会員の斡旋に加担してしまったインフルエンサーさんたちもtwitterで話題になっていました。

• ギガ割プロモーション
  1年に4回行うPantrii大規模ショッピング祭りで、高い割引率で商品を販売し、Pantrii負担のクーポンを多量に発行するお祭りです。Pantriiと販売店がそれぞれ割引率を負担しあうことで、通常販売価格から最大20%OFFで商品を提供します。
  ギガ割期間中にはtwitter、instagram、Youtubeなど各種媒体でインフルエンサーPRが実施されるため、定常期間にはないユーザー数がサイトに訪問します。2023年2月23日~2月28日実施のギガ割では、定常期の10倍のユーザーが来訪したそうです。

「ギガ割」というネーミングがひっかかります。Qoo10のメガ割のような、携帯会社の料金プランのような。20%割引や割引負担の折半など、Qoo10のメガ割と同じですね。

4月にこのような会員を増やす販促を実施して、5月にサービスを停止しています。
キャッシュが無くなってきたので、会員を増やすべく販促をしたが、思うように会員が増えず、やむを得ずサービス停止に至ったのか。それとも、会員費を徴収だけして、意図的にサービスを停止し、そのまま返さないという計画的なやり方だったとも推測できます。破産もしていないので、このキャッシュを別の事業で使うことを考えているのではないでしょうか。

Pantriiは何だったのか

利用も出店もできていませんが、このPantriiを運営している株式会社Parchieの方々とやりとりをして感じたことは、

• 時間を守らない
• 約束を守らない
• 気を配れない

そんな会社なんだと感じました。
やり取りや登録に費やした時間は無駄になりましたが、社員は会社を表しているということがよくわかりました。仮に出店していても、お客様対応はしっかりやってくれるのだろうか、期日通りに売上金が支払われるのかとか、常に不信感を持ちながらの運営になったと思います。

EC出店者、経営者としては売上金が回収できないようなところに出店することはNGです。今回、モール出店のリスクを軽んじていたこと、この株式会社Parchieの経営体質を見抜けなかったことを反省しております。

この写真のように、神崎陸さんという代表も、従業員の方々も皆若い方ばかりで、若々しくてキラキラした会社という印象をうけました。若い方々と仕事をできるのを楽しみにしていたのですが、残念な結果となりました。

まとめ

• どんなECモールでも信用できるかを疑う
• 社員は会社を表す
• 若い人との仕事は刺激になる

ありがとうございました。