日本でECモールと言えば、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、au PAY マーケット、Qoo10、メルカリなど。
買い物する立場から言えば、それぞれ経済圏があって、楽天ポイントが使えるとかPayPayで払うとか買い方によってモールを決めることもあります。また、扱っている商品にもそれぞれ特徴があるので品揃えで選ぶこともあるでしょう。
出店者としてはどのくらいの販売力なのか、手数料がいくらかかるのか、気になるところです。いくつかのモールにも出店してるダウスラボの視点から、ECモール手数料についてまとめていきます。
ECモールの規模
日本で最も大きなECモールは楽天市場で、Amazon、Yahoo!ショッピングと続きます。
流通総額 | 店舗数 | ユーザー | |
楽天市場 | 5.6兆円 | 57,000 | 5,000万 |
Amazonジャパン | 3.2兆円 | 160,000 | 4,800万 |
Yahoo!ショッピング | 1.6兆円 | 1,170,000 | 2,200万 |
メルカリ | 8,472億円 | 200,000 | 2,200万 |
Qoo10 | 2,004億円 | 20,000 | 2,000万 |
auペイマーケット | 1,287億円 | 15,000 | 1,000万 |
参考:ニールセン デジタルコンテンツ視聴率 ほか
数字はわかりやすいように端数は簡略化しています。
店舗数はYahoo!ショッピングが最も多く、メルカリも流通総額の割には店舗数が多いことがわかります。
流通総額、ユーザーの多いECモールに出店すれば、それだけ販売機会には恵まれます。また、店舗数の多いところに出店すれば激しい競争となります。逆に店舗数が少なければ勝ち組になれる可能性も高いでしょう。
ECモールの手数料
各モールの手数料をまとめるとこの通りです。
※税別
月額合計 概算 |
初期 費用 |
月額 利用料 |
決済 手数料 |
販売 システム 手数料 |
ポイント 負担 |
キャンペーン 負担 |
アフィリエイト 手数料 |
|
楽天市場 がんばれ プラン |
固定費 4,625円 変動費 9.1~15.6% |
60,000 | 19,500 年間一括払い R-Messe利用料3,000 |
楽天市場決済 2.5~3.5% |
システム利用料 3.5~7% 安全性・利便性向上のためのシステム利用料0.1% |
1% | 任意 | 2.0~4.0% |
Amazon ジャパン 大口出品 出品者出荷 |
固定費 4,900円 変動費 8~15% |
0 | 4,900 | 0 |
8~15% |
任意 | 0 | 0 |
Yahoo! ショッピング |
固定費 0円 変動費 6.5~7.98% |
0 | 0 | 3~4.48% | 0 | 1% | 1.5%必須 セール参加にはプロモーションパッケージ必須3.3% |
1~50% 1%必須 任意で設定可能 |
メルカリ | 固定費 0円 変動費 10% |
0 | 0 | 10% | 0 | 0 | 0 | 0 |
Qoo10 | 固定費 0円 変動費 7~13% |
0 | 0 | 6~10% カテゴリーによる |
発送日4日以上は2% | 0 | 任意 セール時のみ |
1% |
auペイ マーケット |
固定費 14,800円 変動費 7~18.5% |
0 | 4,800 CSV機能10,000 |
4.5~9% カテゴリーによる |
auスマートパス プレミアム手数料 0.5% |
1% | 1.5~8% カテゴリーによる |
月商110万円、家具・インテリアカテゴリー、クレジット決済、アフリエイト無でシミュレーションしてみると、この通りです。
月額合計 概算 |
固定費 | 変動費 | 備考 | |
楽天市場 がんばれプラン |
124,525円 | 4,625円 | 119,900円 10.9% |
|
Amazon ジャパン 大口 出品者出荷 |
169,900円 | 4,900円 | 165,000円 15.0% |
|
Yahoo! ショッピング |
63,140円 | 0 | 63,140円 5.74% |
セール参加に必須のプロモーションパッケージは無とした。 |
メルカリ | 110,000円 | 0 | 110,000円 10.0% |
|
Qoo10 | 110,000円 | 0 | 110,000円 10.0% |
予約商品は無とした。 |
auペイ マーケット |
110,500円 | 14,800円 | 95,700円 8.7% |
CSV機能は無いと仕事にならないので込みとした。 |
手数料比較の結果
最も安いのはYahoo!ショッピングの6.5%で、次いでQoo10とメルカリの10.0%となりました。
Yahoo!ショッピングなら、手数料最安で業界3位のモールに出店できます。その代わり、出店者数は業界一多いので、競合ひしめく中での販売となります。
モールに出店したい場合は、Yahoo!ショッピングから始めてみるというのも手ですね。
2位になったQoo10は手数料は安いですが、Yahoo!ほどの販売力はありませんが、近年ユーザー数が増えているECモールです。
メガ割というセールやクーポン、広告をうまく使って集客をすれば、競合が少ない分優位に立てそうです。
同率2位のメルカリも、手数料は安いです。近年、メルカリShopsという事業者向けの出店形態を導入したり、フリマアプリからECモールに寄せてきたりしていますので、セールやクーポンなどの売り方もできるようになってきました。
難点は値下げ交渉してくる客がいることでしょうか。
最も高いのはAmazonで、次いで楽天市場、au PAY マーケットとなりました。
Amazonも楽天市場も手数料は高いですが、そのブランドの認知力や販売力は相当高く、高いだけの価値はあります。
他のモールに比べて、販売力やユーザーが多い割に店舗数が少なめなのは、それだけ厳選されたショップが出店しているということです。生き残れれば優位に立てるモールということです。
au PAY マーケットは手数料が中途半端に高いですが、まだまだ出店者数も少ないので、先行者利益という考え方で出店するならありでしょう。
手数料比較の注意点
■税別表記
上記の手数料は税別表記です。各モールの説明を見ても税別のところが多いです。一方、商品の売価は税込ですから、ここを混同しないようにしてください。
手数料にもしっかり消費税がかかります(一部非課税項目もあり)
例えば、税込11,000円の商品を決済手数料3.0%で販売すると手数料は、
11,000×3.0%×1.1(消費税10%)=363円
税込手数料率3.3%
となります。
■最低限の手数料
以上の手数料は出店して陳列するだけの費用です。最低限の手数料だと考えてください。
実際にはアフリエイトと呼ばれる外部広告からの流入が10%以上ありますので、意外とアフリエイト手数料はかかります。
ほとんどのモールではこれらの手数料の他に、ポイント付与分、セール負担分など、より売っていくために販促の費用がかかります。
■Yahoo!ショッピングの注意点
手数料最安のYahoo!ショッピングですが、安く見えるのには訳があります。それはYahoo!ショッピング主催の販促には参加しないで、自力で販売していく最低限のプランだからです。
プロモ―ションパッケージ 3.3% に入らないと、さん!さん!キャンペーン、ボーナスストア、ヤフービッグボーナス、超PayPay祭、ゾロ目の日など毎月実施のキャンペーンに参加できません。
ECモールで売り上げを伸ばし続けるなら、モール主催の販促についていくのが定石です。
Yahoo!ショッピングの販促に参加するには以下が必要になります。
- プロモーションパッケージ3%
- 参加条件PRオプション料率4.0%以上
プロモーションパッケージ含む - PayPayポイント5%か10%
手数料をまとめると下記の通りです。
手数料 | 料率 | 備考 |
決済手数料 | 3.3% | PayPay残高払いとクレジットカード決済が大多数 3.24%~4.48% |
ストアポイント原資負担 | 1% | |
キャンペーン原資負担 | 1.5% | |
プロモーションパッケージ | 3% | |
PayPayポイント | 5.0%~10% | ボーナスストア参加条件 |
PRオプション料率 | 4.0~8.4% | ボーナスストア参加条件 プロモーションパッケージ含む |
手数料合計 | 14.8~24.2 |
PayPayポイント5.0%で参加条件PRオプション料率4.0%の時で合計14.8%かかります。これはAmazonの手数料とほぼ同じです。
ボーナスストア(旧倍!倍!ストア)や超paypay祭りは本当によく売れるので、参加した方が売り上げが作れるのは事実です。
ですので、大型販促に参加して売上を作っていくのであれば、もっと手数料は高くなると見てください。
逆に、唯一無二の商品を扱っていて、販促などしなくても売れていくのであればこれらの手数料は不要ですので、文字通りYahoo!ショッピングの手数料は最安となります。
■au PAY マーケットの注意点
一括出品CSVオプションがオプションでの任意選択となっていますが、この機能が無いと、日が暮れても作業が終わらないので、必須の機能として手数料試算をしています。
出品点数が10点くらいなら1商品ずつの登録や修正、更新も可能ですが、100、1000と出品するなら1点ずつの更新は不可能です。
その際はCSVなどによる一括更新が普通ですが、このモールはこの機能がオプションとなっており、10,000円/月という高額な手数料がかかります。
一括出品CSVオプション
多数の商品を一括で出品したり、CSV管理によって商品情報を登録・変更・削除できます。大量の在庫管理を行う店舗さまにおススメのサービスです。
利用料:月額11,000円(税込)
※一括出品CSVオプションをご利用いただくと、出品数アップオプションやau PAY マーケット Plusにもお申し込みいただけるようになります。
auペイマーケットより
Amazonも大口出品という月額4,900円のプランでないとCSV一括更新は使えませんが、この機能だけではなく他の機能や優位性がついています。この機能だけで10,000円もしません。
メルカリはメルカリShops発足の2021年にはCSV機能はありませんでしたが、2022年にはCSV機能が導入されました。無料です。
以前、au PAY マーケットから出店のお誘いをいただきましたが、この10,000円/月のオプションに腹が立ってお断りした経緯があります。
その時はこの機能が1年間無料というキャンペーン条件でしたが、「普通はいつでも無料だろ」と思ったら余計に腹が立ちました。
モールとショッピングカートのどちらが安いのか
モールの手数料は10~15%、ショッピングカートASPでは4~8%の手数料がかかります。その差は6~8%くらいです。
ショッピングカートASPの手数料についてはこちらの記事もどうぞ。
ショッピングカートの方が安く見えますが、それは販促費用が含まれていないからです。
モールは大々的な広告を打って、大きなセールや還元をして集客をしてくれます。ショッピングカートは自分でお金をかけてやらないと集客できません。
手数料の差は販促費用の差です。
安いモールでも、販促費用を入れれば結局10~15%はかかります。
ですので、モールの手数料は10~15%で、販促はモールが大方やってくれるので、自店に集客する分だけの費用を5%とみて、15~20%と考えます。
ショッピングカートASPでは4~8%の手数料がかかります。
ショッピングカートASPでは、お客様は自分で呼ばない限り、勝手に集まってはきません。ですので、モール以上の販促が必要になります。
この販促費用をモールの倍の10%と見れば、手数料は14~18%となり、モールとほとんど変わりません。
- モールに集客してもらう
- 自分で集客する
集客という視点で考えれば、最終的にはどちらが安いかは数字だけではわからないということです。
集客という視点ではなく、店舗を構えて、見つけた人だけ、好きな人だけに来てほしい場合は、ショッピングカートASPの自社サイトの方が安いですね。
ですので、
不特定多数に大量に売りまくりたい、広く知ってほしい
→モールで販売した方が販促込みの手数料なのでお得
わかる人だけ、好きな人だけに販売したい
売れない月と売れる月の差が大きい
→販促費が手数料に含まれていないショッピングカートASPの自社サイトがお得
といった使い分けが必要です。
まとめ
- 手数料はYahoo!ショッピングが安い
- 安くても販促をすればあまり変わらない
- 高い手数料は販促費だと考える
ありがとうございました。