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【40代からの起業】現場を動かす経営理論:第9講|感情論と対策誘導を排し、本質を叩く「論理思考と問題解決」

この記事は約20分で読めます。

トラブルが発生した際、誰の責任かという犯人探しに終始したり、最初からやりたい対策ありきで原因をこじつける「対策誘導」が横行したりしている。その結果、場当たり的な解決策でお茶を濁し、全く同じミスを何度も繰り返している。

多くの組織が陥っているこの不条理な光景は、論理思考の欠如がもたらす構造的な機能不全です。間違った問題に対する正しい答えほど、手の施しようのないものはありません。問題の本質が何であるかを見極める前に、安易な解決策を探そうとしてはならないのです。

内製化8科目の第6の矢として、事案を感情論ではなく「目的・手段・制約(QCT)」へと因数分解し、打つべき具体策を導き出す『論理思考と問題解決』の規律を解剖します。

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構造化の規律:間違った問いを排除する「先人の規律」

思い込みや他責の雑音を冷徹に遮り、混沌とした事象に論理のメスを入れるために、私たちが脳内に叩き込むべき普遍の規律です。

「間違った問題に対する正しい答えほど、実りがないだけでなく害を与えるものはない」

—— ピーター・ドラッカー(『マネジメント』より引用)

「読み手の脳は、入ってくる情報を自動的にピラミッド状にグループ化して理解しようとする。(中略)書く側があらかじめ自分の考えをピラミッド型に構造化し、下位のグループが上位のメッセージを支える関係を作っておく必要がある」

—— バーバラ・ミント(『考える技術・書く技術』より引用)

「『問題がない』が最大の問題である」

――OJTソリューションズ『トヨタの問題解決』より引用

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【構造転換】犯人探しの泥沼から「事実に基づく因果関係の解明」への変革

主観や感情的な反発を完全に排し、組織をロジカルな統治インフラへと引き上げるための境界線です。

現状:対策ありきで原因を捏造する「不条理な対策誘導」

トラブルの真因を探るのではなく、誰のせいかという犯人探しや、自分たちのやりたい特定の対策を正当化するために原因を都合よく逆算してこじつけている状態です。本質からズレた場当たり的な対応を繰り返し、組織全体が疲弊している姿を指します。

あるべき姿:共通の論理言語でボトルネックを破壊する「構造的解決」

思い込みや感情論を完全に排し、客観的な事実(ファクトとデータ)から一本の因果関係の線を解き明かしている状態です。構造的な解決策をロジカルに導き出し、それを元に戻らない仕組みとして組織に完全に定着させている姿を指します。

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混沌を切り裂き、打つべき具体策を導く「問題解決の8ステップ」

現場からトラブルの報告が上がった際、あるいは新しいプロジェクトの課題に直面した際、私たちは主観や現場の感情的な反発といった雑音に惑わされてはなりません。

ボードメンバーとなったあなたに求められるのは、混沌とした事象に即座に論理のメスを入れ、ロジカルシンキング(論理思考)の確固たる統治インフラを組織に確立することです。バーバラ・ミントが説いた構造化の規律に従い、感情を排して原因を突き止める「問題解決の8ステップ」を冷徹に執行してください。

ステップ1:問題を正しく定義する

最初に解くべき問いを間違えてはなりません。目指すべき「あるべき姿(目標値)」と、無残な「現状(実績値)」との間にあるギャップ(問題)をデータによって100%客観的に浮き彫りにせよ。問題の所在を定義する前に解決策に飛びつく行為を厳に慎むべきです。

ステップ2:要因をMECEに洗い出す

トラブルの真因に迫るためには、一面的に物事を見てはなりません。想定されるあらゆる原因の可能性を、「漏れなく、重複なく(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive=MECE)」ピラミッド状に広げ、全体像を構造化してください。

なぜ、ロジカルシンキング(論理思考)においてこのMECEという概念がこれほどまでに強調されるのか。それは、「漏れ」があれば真因を見落として対策が的外れになり、「重複」があれば同じ議論を何度も繰り返して組織のTime(納期)とリソースをドブに捨てることになるからです。

混沌としたトラブルを前にして、思いつきのアイデアや声の大きい人間の意見だけで突っ走るのをやめよ。問題の全体をMECEに因数分解し、すべての可能性をテーブルの上に載せること。この網羅性こそが、感情論を排して正しいレバーを叩くための、ロジカルシンキングにおける絶対的な土台となります。

ステップ3:仮説と事実で切り分ける

ここで最大の罠である「対策誘導」を断固排除せよ。「システムがないから、人員が足りないからミスが起きた」といった、特定の対策を正当化するために原因を都合よく逆算して捏造した報告はすべて却下してください。不足は単なる状態であり、真の原因ではありません。

立てた仮説に対して、主観を排した冷徹な事実(ファクトとデータ)だけを突きつけ、原因の有無を厳格に切り分けるのです。

ステップ4:主要因(最も効果の高い一点)を特定する

無数にある要因を並列に扱うな。そこを叩けば全体が劇的に改善する、因果関係の根源にある真のボトルネック(一点)をデータで特定せよ。

ステップ5:対策を立案する

主要因を破壊するための解決策を幅広く洗い出し、Quality(品質)、Cost(コスト)、Time(納期)という冷徹な制約条件(QCT)によって評価し、絞り込んでください。

ステップ6:対策を実行する

誰が、いつまでに、何をするかの実行責任を1ミリの曖昧さも残さずに明確にし、迅速に執行せよ。

ステップ7:効果を確認する

実行結果の検証において主観や泣き言を挟んではなりません。ステップ1で定義したギャップが、具体的にどう数値として改善されたかをファクトで冷徹に検証してください。

ステップ8:定着・次の改善につなげる

一時的な成功で終わらせてはなりません。前回(第8講)で示したチームのラーニング環境(組織学習)をフル稼働させ、得られたナレッジを共有し、元に戻らない統治インフラとして組織に完全に定着させるのです。

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まとめ:全員が共通の論理言語を持って初めて、組織は自走する

全員がこの8ステップという共通の論理言語を持って初めて、ラーニングによるQualityの向上とTimeの短縮が実現します。感情や思い込みを捨て、このステップを冷徹に回し続けなければなりません。

  • 「やりたい対策」から逆算して原因を捏造した報告はすべて却下せよ
  • 不足(人員が足りない等)は単なる状態であり、真の原因ではないと知れ
  • 主観を排した冷徹なデータで真のボトルネックを特定せよ

事実に基づいた圧倒的な論理ガバナンスを組織に確立すること。間違った問題に正しい答えを出して満足する経営陣の怠慢を捨て、構造的な解決策のレバーを冷徹に引き切ってください。

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今回の講義のベースとなった「論理思考と問題解決のバイブル」

本講で解説した「感情論と対策誘導の排除」、そして「事実に基づく因果関係の解明」は、一朝一夕に身につくスキルではありません。これらを組織の揺るぎない統治インフラとして定着させるために、私自身が何度も立ち返り、歪んだ組織のOSを書き換える武器としてきた3冊のバイブルです。

単なるフレームワークの紹介に留まらず、本気で現場を動かし、仕組みで組織を自走させたいと願うミドルマネージャーや経営陣は、ぜひ手元に置いてください。