ネットショップやブログをやっているとエゴサーチする機会がよくあります。Googleで「ダウスラボ」「dauslab」と検索するわけです。
検索結果には自分でつくったECサイトやSNSの投稿は出てくるわけですが、それ以外に見覚えのないアドレスのECサイトがいくつか出てきます。そのうちの多くは「Not Found」で接続できないのですが、いくつかは見たことのないECサイトに繋がります。
ダウスラボとは全く関係のないECサイトです。これらの多くはネット通販詐欺サイトです。
詐欺サイトに関する最新の情報はこちらからどうぞ。
ネット通販詐欺サイトとは
ECサイトに偽装して、商品を購入させておいて商品を発送しない、もしくは偽物を送るという悪質なサイトです。
中にはIDやパスワード、個人情報を入力させて個人情報を盗み取ったり、クレジットカードを不正利用するサイトもあるようです。
消費者庁では悪質な海外ウェブサイト一覧を公表しています。不安に感じる通販サイトがあれば、この一覧に該当URLが掲載されていないか確認した方がよさそうです。
消費者の被害はもちろん、我々EC事業者にも被害はあります。
- ページをコピーされることの著作権侵害
- ショップ名や連絡先を悪用され信頼を落としてしまう信用損失
- 検索で詐欺サイトが上位表示、オリジナルが下位表示になる機会損失
ネット通販詐欺サイトを見つけた
Googleで「ダウスラボ」をエゴサーチしていました。上位には私のブログ、ECサイト、SNSのアカウントが表示されています。
下位の方へ行くと…知らないサイトが出てきました。
検索結果一番下のチェアをクリックしてみました。楽天風のECサイトへ。
VQE専門店?知りません。
下の方へスクロールすると…
見覚えのある商品説明と一緒に「ダウスラボ」の文字を発見しました。
画像の配置の仕方も同じです。
当方が出店しているQoo10のページをそのままコピーしているようです。
さらにスクロールしていくとECサイトらしい説明があります。
ページ最下部には会社概要がありました。
Googleで本店所在地 〒505-0121 岐阜県可児郡御嵩町中2650-6 ジャパン (最後のジャパンっていかにもおかしい)を調べてみると、検索結果に地図より先にこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。
住所の方は実在しており、航空写真では民家のような建物が確認できました。
続いてFAX番号 0904-62-1805 を調べてみると、こちらも先ほど同様にこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。
電話帳ナビには「注意」とまで表示されています。
店舗運営責任者 豊田 勝文と店舗セキュリティ責任者 豊田 須美恵 両名とも検索してみましたが、こちらも先ほど同様にこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。
これだけ検索結果に出てくるということは詐欺サイトに間違いなさそうです。購入させられて詐欺被害にあったかもいらっしゃるようです。
詐欺サイトに関する最新の情報はこちらからどうぞ。
なぜ詐欺サイトがGoogle検索に出てきたのか
Google検索エンジンの仕組みの一つに「キーワード」があります。検索窓にキーワードを入力して検索すると、Googleが持っているデータソースから、そのキーワードと関連の高いサイトや画像などを表示するものです。
私のECサイトの場合、商品説明欄に下記のような文言を入れています。
【dauslab】 ダウスラボ は、「好きなモノとコトで好きな空間を創る」がテーマの家具・インテリア通販ショップです。空間創りの主役である家具や照明を、デザイナーズ、北欧、インダストリアルなどのこだわりのテイストで取りそろえております。
※文字数制限にかかる場合は商品説明を優先し、これらの文言は使いません。
「ダウスラボ」とGoogle検索すると、上記の文言が含まれているサイトは検索結果に表示される可能性があります。この文言を使っているのは私が運営しているサイトだけのはずですが、それ以外のサイトも表示されています。
つまり、詐欺サイトはこの文言をコピーして掲載していたので、検索にひっかかったわけです。実際に詐欺サイトに掲載されているところを見ると、商品名、商品説明、商品画像などページまるごとコピーされていました。
Google検索の上位にオリジナルサイトが表示されているのでまだましですが、詐欺サイトが上位表示でオリジナルが下位表示ではビジネスチャンスを損失しています。
また、消費者が検索した際に詐欺サイトを「ダウスラボ」だと誤認してしまうと、ダウスラボのイメージや信用が下がります。
このように、詐欺サイトがGoogle上に表示されることはマイナスでしかありません。
EC事業者の被害
- ページをコピーされることの著作権侵害
- ショップ名や連絡先を悪用され信頼を落としてしまう信用損失
- 検索で詐欺サイトが上位表示、オリジナルが下位表示になる機会損失
出店しているモールに相談してみる
モールによってはこの手の対策チームがあるようですので期待して相談してみました。
Qoo10のサイトがコピーされていましたので、Qoo10の担当者にメールしてみました。
ネット通販詐欺サイト
重々しい件名ですいません。
Qoo10に出品している当社の商品ページが、どこかのネット通販詐欺サイトらしきところに掲載されています。画像含め商品情報までページごとコピーされています。自社サイトやyahooの商品ページはコピーされていないようです。
相手方にページを取り下げるようにさせたいのですが、このような事案にQoo10では対処する方法はありますでしょうか。
よろしくお願いします。
お世話になっております。
ご連絡ありがとうございます。
社内にも問い合わせを入れておりますが弊社として対処を行うことは難しいかと思います。
直接ネット通販サイトへ問い合わせをしていただくことになるかと思います。
また何か動きがありましたらご連絡します。
宜しくお願い致します。
数日後担当の部署の方からメールをいただきました。
Qoo10に出店中のセラーによる、画像盗用含む商標権、著作権、特許権、肖像権など他人の権利を侵害する行為に関しては、知的財産権保護の観点で、侵害詳細を申立て頂く事で出店規約に基づき各種対応させて頂く事が可能です。
ただ今回のケースは、Qoo10と関連が無い他通販サイトがdauslabの出品商品情報・画像を無断使用しているケースになりますので、Qoo10が販売店を代理して第三の通販サイトへ何らかの対処を行う事はできません。
*参考までに、Qoo10のロゴを無断使用したり、Qoo10が権利を有するプロモーション・広告画像等を侵害、無断使用するケースに対しては 直接警察への通報や掲載差し止め要請を行います。
今回のような著作権侵害による対処に関しては、基本的には弁護士への相談と損害賠償の請求や商品掲載差し止め要求等を販売店側で進めて頂く必要がありますので、ご参考宜しくお願い致します。
Qoo10の言っていることはごもっともでした。
結論としては自分で対処するしかないということです。
詐欺サイトをGoogle検索に表示させない方法
詐欺サイトの存在そのものを削除することはできませんが、詐欺サイトに直接申し入れをしたり、弁護士を通じて損害賠償請求や商品掲載差し止め要求をすることはできます。ただ、これは結構手間も時間もかかるので手っ取り速い方法で解決したいです。
そこで、詐欺サイトにアクセスしにくくすることにしました。ほとんどの方が検索サイト経由で詐欺サイトに出くわすので、世界最大の検索サイトGoogleに掲載されないようにすればいいのです。
Google では、デジタルミレニアム著作権法およびその他の適用される知的財産法に基づく著作権侵害の申し立てを受け付けてくれます。承認されると、侵害している著作物を削除するかアクセスを不可能にしてくれます。
Google Search Consoleにログインし、下記リンクより申し立てをします。
Google Search Console はブログの新しい記事をGoogleにクロールしてもらうように催促したり、ページのインデックス登録を確認したりするのに使用されます。EC事業者は Google Analytics やGoogle Merchant Center を使うことが多いのであまり馴染みがないかもしれません。
Search Console の概要
Google Search Console は、Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービスです。Search Console に登録しなくても Google 検索結果にサイトが表示されるようにすることはできますが、Search Console に登録することで、Google のサイトに対する認識を理解し、改善できるようになります。
Search Console には、以下を行うためのツールとレポートが用意されています。
Google https://support.google.com/webmasters/answer/9128668?hl=ja
- Google がサイトを検出してクロールできることを確認する。
- インデックス登録に関する問題を修正し、新規コンテンツや更新したコンテンツのインデックス再登録をリクエストする。
- サイトの Google 検索トラフィック データ(サイトが Google 検索結果に表示される頻度、サイトが表示されたときの検索クエリ、検索クエリに対して検索ユーザーがクリックスルーする頻度など)を表示する。
- Google がインデックス登録やスパムなどのサイトに関する問題を検出したときにアラートを受信する。
- ウェブサイトにリンクしているサイトを表示する。
- AMP、モバイル ユーザビリティ、その他の検索機能に関する問題を解決する
Google 著作権侵害による削除の仕方
Google Search Consoleにログインし、下記リンクより申し立てをします。
- フォームに連絡先情報を記入します。
- 著作権対象物を特定する情報とその著作物の説明を記入します。
著作権対象物を特定する情報=どの文章がコピーされているのか
当該著作物が許可を受けて掲載されている場所=自分のサイトのURL
権利を侵害している著作物の場所=詐欺サイトのURL
を記入します。
ECサイトの商品ページが侵害されていますので、それぞれの商品ページのURLを記入します。複数ある場合は改行して下へ追加していきます。
- リクエストの状況
署名をして送信するとリクエストの状況が表示されます。
承認されても何も通知はありません。
私の場合は即時に承認され、Google検索には表示されなくなりました。
ネット通販詐欺サイトとのいたちごっこ
見知らぬECサイトはGoogle検索からは表示されなくなりましたが、1週間もすると別の詐欺サイトらしきものが見つかりました(アクセスできないようにhttpsのhを除いてあります)
- Noq激安店
検索表示URL ttps://todaesolar.com.au → 遷移URL ttps://noq.evangelc.shop - WBV市場店
検索表示URL ttps://casadoakita.com.br → 遷移URL ttps://wbv.evangelc.shop - super solitaire
検索表示URL ttps://dotbook.ark-web.jp → 遷移URL ttps://conversation.coppet.xyz - janus
検索表示URL ttps://dotbook.ark-web.jp → 遷移URL ttps://soil.coppet.xyz
1と2は上述したVQE専門店と同じ「evangelc.shop」というドメインで、会社概要も同じです。ページの見た目も同じです。
3と4は「coppet.xyz」というドメインでトップレベルドメインは詐欺サイトによく使われるという「.xyz」です。それぞれ会社概要は異なります。
こちらの画像の通りずいぶん立派に作りこんであります。
これらのサイトもGoogle 著作権侵害による削除の申し立てをし、以降表示されなくなりました。
詐欺サイトとのいたちごっこなので、彼らはまた次から次へと違う商品ページをコピーしてきます。Google検索に表示されなくなることは、メリットがあるのですが、この作業に時間をかけすぎて通常の業務が止まってしまうようでは本末転倒です。
ネット通販詐欺サイトへの対策
- 証拠をとる
URL、スクリーンショットを保存して証拠として残しておきます。 - Google検索に表示されないようにする
上述の通りです。本来の自分のサイトが検索画面に表示されるようになります。 - 出品しているモールに通報する
モール出店の場合はモールや担当者に連絡しておきます。それぞれのモールには対策チームがあるようですので対処してもらえる場合もあります。 - ページを取り下げるよう直接依頼する
相手にもよりますが多くの場合は対応されないようです。 - 出品ページに自社のサインをつける
自社名を入れたオリジナルの文言を商品説明に入れたり、画像に自社ロゴを透かしで入れるなど。これによりコピーされた場合は容易に判断できます。
いたちごっこになる可能性は高いですが、やらないよりはましです。
まとめ
- ECサイトのページをコピーされると著作権侵害を受けている
- ECサイトの評判を落とされた風評被害を受けている
- Google検索に表示されないようにすることができる
ありがとうございました。