Qoo10は国内EC市場の中でAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、au PAYマーケットに続いて、5番目の利用率を誇り、ユーザー数は2000万人を超え、成長率30％のもっとも伸びているインターネットショッピングモールです。
Qoo10に出店して2年経ちますが、メガ割は良く売れる（平月は売れません）ので楽しく運営している一方、実は見えないリスクも潜んでいたのです。
- ショップページがコピーされ詐欺サイトに使われるリスク
- コストアップのリスク
- キャッシュフローが悪化するリスク
そこで、Ｑoo10出店で気を付けたいことを取り上げていきます。
Ｑoo10についてはこちらの記事もどうぞ。
ショップページがコピーされ詐欺サイトに掲載される
別の記事でも紹介していますが、当店Ｑoo10店のショップページがコピーされ、詐欺サイトにそのまま掲載されています。
一例をあげるとVQE専門店という楽天風のECサイト。
見覚えのある商品説明と一緒に「ダウスラボ」の文字を発見しました。
画像の配置の仕方も同じです。
当方が出店しているQoo10のページをそのままコピーしています。
会社概要を見てみます。
Googleで本店所在地 〒505-0121 岐阜県可児郡御嵩町中2650-6 ジャパン を調べてみると、検索結果にはこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。住所の方は実在しており、航空写真では民家のような建物が確認できました。
続いてFAX番号 0904-62-1805 を調べてみると、こちらも先ほど同様にこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。電話帳ナビには「注意」とまで表示されています。
店舗運営責任者 豊田 勝文と店舗セキュリティ責任者 豊田 須美恵 両名とも検索してみましたが、こちらも先ほど同様にこのサイトで購入した人の悲鳴が出てきました。どうやらこのサイトは中国系の詐欺サイトに間違いありません。
このように当店のQoo10店のページを丸々コピーして掲載している中国系の詐欺サイトがいくつかあります。Qoo10店には中国系のショップも多く出店していますので、中国系との親和性が高いからなのかと推測しています。そして、よく来る仕入れや輸出代行のビジネスメールも中国系がほとんどで、Qoo10を見てから送ってきます。
※ちなみに、当店の他のモールの店舗（BASE本店、Yahoo!店、Amazon店）はコピーされていません。
詐欺サイトに掲載されないようにする
詐欺サイトはGoogle検索に現れます。ご自分のショップをお持ちであればエゴサーチをしてみてください。知らないサイトが出てきませんか？
詐欺サイトがGoogle上に表示されることはマイナスでしかありません。
詐欺サイトに使われるEC事業者の被害
- ページをコピーされることの著作権侵害
- ショップ名や連絡先を悪用され信頼を落としてしまう信用損失
- 検索で詐欺サイトが上位表示、オリジナルが下位表示になる機会損失
詐欺サイトの存在そのものを削除することはできませんが、詐欺サイトにアクセスしにくくすることはできます。ほとんどの方が検索サイト経由で詐欺サイトに出くわすので、世界最大の検索サイトGoogleに掲載されないようにすればいいのです。
Google では、デジタルミレニアム著作権法およびその他の適用される知的財産法に基づく著作権侵害の申し立てを受け付けてくれます。承認されると、侵害している著作物を削除するかアクセスを不可能にしてくれます。
詳しいやり方についてはこちらの記事で解説しておりますのでご覧ください。
他にも、ネット通販詐欺サイトへの対策としては下記のようなことができます。
- 証拠をとる
URL、スクリーンショットを保存して証拠として残しておきます。 - Google検索に表示されないようにする
上述の通りです。本来の自分のサイトが検索画面に表示されるようになります。 - 出品しているモールに通報する
モール出店の場合はモールや担当者に連絡しておきます。それぞれのモールには対策チームがあるようですので対処してもらえる場合もあります。※Qoo10は何もしてくれませんでした。 - ページを取り下げるよう直接依頼する
相手にもよりますが多くの場合は対応されないようです。 - 出品ページに自社のサインをつける
自社名を入れたオリジナルの文言を商品説明に入れたり、画像に自社ロゴを透かしで入れるなど。これによりコピーされた場合は容易に判断できます。
いたちごっこになる可能性は高いですが、やらないよりはましです。
恐るべし追加手数料
Qoo10でかかるコストは、販売額に応じた各種手数料です。
私がQoo10に出店した時の説明では「手数料体系については、出店費用・月額固定費は一切かからず
売れた際のカテゴリー手数料のみかかってきます。御社の場合は10%ですね。」と言われ、10%なら良心的だと思い出店を決めました。しかし、実際に販売してみるとまぁ色々かかること。
- 販売手数料
カテゴリーによって商品販売額＋送料の6~10％（実際にはここに消費税がかかります）
- 追加手数料
①予約販売、後日配送の場合はプラス2％（3日以内に発送できないもの）
②Qoo10での銀行口座登録が日本国外の場合、または商品出荷地が日本国外の場合はプラス2％
③Qoo10サイト以外の外部広告、または最安値コーナー経由の売上の場合はプラス1％
- 振込手数料
精算金額の振込手数料として150円（１回あたり）
この3つの手数料が基本ですが、この中の追加手数料①③には要注意です。
①予約販売、後日配送の場合はプラス2％（3日以内に発送できないもの）
これは個々の商品によります。
即日発送や3日以内に発送する一般発送商品であればかかりません。
発送までに4日以上かかる予約発送商品ではプラス2％の手数料がかかります（2022年は１％でしたが値上げがあり２％になりました）
お客様を待たせているのでその分ペナルティを払うイメージですが、こちらも好きで待たせているわけではありません。オーダー品、受注生産品、組立・設置を伴う商品などそれなりの理由があります。
ショップの商品構成や販売構成によりますが、予約発送商品は2%を加味して値入をした方がいいです。
③Qoo10サイト以外の外部広告、または最安値コーナー経由の売上の場合はプラス1％
「外部広告」とは、GoogleやYahooの検索、Facebook広告、アフィリエイト型広告など、Qoo10サイト以外の広告媒体のことを指します。
下図はQSMの注文情報ですが、外部広告というところにGoogleと書かれています。これはGoogle広告経由で購入されたということです。なのでプラス1％の手数料がかかります。
Qoo10はモールなのでモール内での検索、購入が多いのですが、実は外部広告も結構な割合を占めます。当店の場合は18.3%とモール内での検索に次ぐ第2位です（下図参照）
これは個々の商品別に設定できるわけではないので、どのチャネルから流入してきても経費負けしないように1％の手数料を加味する必要があります。外部広告経由が増えてくると、じわじわと1%経費増です。
例）受注生産品などで3日以内に発送できない商品を外部広告経由で販売すると、
販売手数料11%＋追加手数料2%＋外部広告経由1%＝14%
Amazonで約16%、Yahoo!ショッピングで約7%の手数料ですから、Qoo10は高い部類です。クーポンやセール、広告もありますので、それらの負担分も加味しないと経費負けになります。
メガ割にかかるコスト
メガ割は20%割引ですからよく売れますが利益率は良くありません。本当によく売れますが、この時しか売れません(笑)
メガ割についてはこちらの記事もどうぞ。
この20%割引のメガ割クーポンのいいところは、20%割引の内、Qoo10が10％、販売者が10％と割引を折半しているところです。モール負担のクーポンはQoo10に限らず各モールにありますが、このように20%もの割引を折半しながら負担しているところはあまり見ません。この仕組みならば20%という大きな割引をしながらも、出店者の負担は10%で済みますから、利益は残ります。出店者が継続的にメガ割に参加することができるありがたい仕組みです。
しかし、残念なお知らせが…↓
Qoo10より出店者向け メガ割システム利用料の導入について抜粋
これまで多くのセラー様のご支援のもとメガ割を実施してまいりましたが、この度、さらなるイベントの成長およびサービス品質の向上に向け、新たにシステム利用料を導入することとなりました。メガ割イベントへの参加者をご検討される場合は、以下についてご理解いただいた上、お申込みいただけますようお願い申し上げます。
【導入の目的】
メガ割の実施期間中、ユーザーおよびセラーの双方に、より安定的かつ良質なサービスを提供するためのシステム開発およびサーバー強化等の環境整備のため
【メガ割システム利用料の詳細】
システム利用料：購入決済金額の1%
このメガ割システム利用料の導入により、今まで以上に手数料負担が増えるわけです。
20%割引が変わるわけではないので、買う側には影響はありませんが、出店者側は今まで以上に経費をかけてメガ割に参加することになります。
当店のように家具・インテリアの販売であれば、平月で販売した金額の11%~14%が手数料として取られます。メガ割期間中にはここに、メガ割割引負担10%とメガ割システム利用料1%が追加されて22%~25%の手数料を取られます。つまり、メガ割期間中は平月の倍売らないと利益は平月並みしか残らないということです。
例）受注生産品などで3日以内に発送できない商品を外部広告経由でメガ割期間に販売すると、
販売手数料11%＋追加手数料2%＋外部広告経由1%＋メガ割割引負担10%＋メガ割システム利用料1%＝25%
実際には平月の倍どころか、それ以上売れますので経費負けすることはありません。
本当によく売れますが、この時しか売れません(笑)
キャッシュフローが悪い
精算の流れはこのとおり複雑で長く、振り込まれるのが遅いので出店者のキャッシュフローは良くありません。
1.受注
お客様が商品を購入し、Qoo10のシステムで入金確認
2.発送
ショップが商品を発送し、J・QSMで発送処理（送り状番号等の入力）を行います。
3.受取
お客様が商品を受け取り、「受け取り確認」ボタンをクリックし、配送状態が「配送完了」になると精算の対象となります。
4.精算
配送状態が「配送完了」になった日を基準に、セラーレベル毎に定められている規定の日数を経過した後の水曜日に、Qサイフ（Qoo10上の仮想口座）に精算金が振込まれます。
セラーレベル毎に定められている規定の日数
- 一般セラー
配送完了後15日経過した後の水曜日 - 優秀セラー
配送完了後10日経過した後の水曜日 - パワーセラー
配送完了後5日経過した後の水曜日
※Qoo10では締め日はなく、毎週水曜日が精算日です。
セラーレベル
ノーマル、優秀セラー、パワーセラーの3段階で格付けされます。ノーマルからスタートして、下記基準により、昇格、維持、レベルダウンが判定されます。
過去12ヶ月売上が下記を満たすと昇格します。
- 優秀セラー
100万円以上 - パワーセラー
500万円以上
前月売上が下記を満たすとレベルは維持され、満たない場合はレベルダウンします。
- 優秀セラー
10万円以上 - パワーセラー
50万円以上
5.振込
Qサイフに精算された精算金は決められた周期で自動的にQサイフから差し引かれ、登録の口座に振込み手続きがされます。
自動出金周期
周期は7日毎／14日毎／毎月最後の水曜日の３つから選択することが可能です。
※自動出金の際、ご登録口座への振込手数料として150円／回が発生します。７日毎にした場合は150円×4週＝600円/月 かかります。
当店は1年で優秀セラーに昇格しましたが、メガ割月しか売れないので、売上が10万円を切る月もあります。なので、メガ割月の翌月は優秀セラーですが、その翌月にはノーマルセラーに戻るというのを繰り返しています。
そんな当店の場合の精算は、下記の通りです。
- 受注から発送
1~7日 - 受け取り確認ボタンをクリック
1日（お客様次第ですが） - 配送完了日を基準に一般セラーの規定日数を経過した後の水曜日
15~21日 - 振込
1~30日 毎月最後の水曜日（毎回振込手数料を引かれるのが嫌なので月1回）
受注から振込みまでは、うまく水曜日のタイミングと月末が合えば、最短で18日です（かつて一度もありませんが）タイミングが合わず当月末を逃すときは翌月末となり最長59日です。
当店ではそういうもんだと割り切っていますが、キャッシュフローを良くしたいのであれば、平月の売上を作り優秀セラー以上をキープすること、振込手数料をかけて自動出金周期を細かくすることが必要です。
Qoo10をまとめると
当店の場合、平月はほとんど売れないので、メガ割時に瞬間的に売上を作るモールだと割り切って運営しています。なので、リスクもコストも割り切っています。
ありがとうございました。
