2021年7月末日退職、8月末日払いにて退職金が振り込まれます。
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を渡されるのでこれを見ればいくらなのかはすぐわかります。
起業する際にまず確認したいのは、実はこの金額かもしれませんね。
個々によって異なるので自身の会社の就業規則を確認されることをお勧めします。
退職金とは
退職金とは、退職する際に会社から退職者に支給される金銭のことで、従業員の福利厚生などを目的に、会社が就業規則に退職金規定を設けて支給されます。
「退職手当」「退職慰労金」などとも呼ばれます。
退職金が支給される仕組みを「退職給付制度」「退職金制度」と呼びますが、この制度の有無は会社によってまちまちです。退職金制度のない会社は全体の2割弱あると言われていますので、ご自身の会社の就業規則を確認したほうがよいでしょう。
就業規則を見ることは従業員の権利です。就業時間に堂々と見ましょう。
退職金は受け取り方によって、退職一時金と企業年金の二つに分けられます。
- 退職一時金
退職時に一括して退職金を受け取ります。
退職金には所得税と住民税がかかりますが、退職所得控除により税金は軽減されます。
退職一時金の算定方法には、主に下記の3つです。
①定額制:給与に関わらず勤続年数に応じた定額を支給
②給与比例制:給与に勤続年数などに応じた支給率をかけた金額で算出
③ポイント制:勤続年数や職能、役職などをポイント化し、ポイントを合算することで支給額を算定
- 企業年金
退職後に複数回にわたり年金という形で退職金を受け取ります。
退職年金は雑所得として所得税と住民税がかかりますが、公的年金と合算して公的年金等控除額を受けられます。
退職年金制度は主に下記の3つです。
①確定給付企業年金:企業が掛け金を支払い、生命保険会社などが運用・管理する制度
②中小企業退職金共済(中退共):主に中小企業などが利用する退職金共済
③企業型確定拠出年金:企業が掛け金を支払い、従業員が資金を運用する制度
私の場合は、 退職一時金③ポイント制+企業年金③企業型確定拠出年金 です。
私の勤めていた会社では2004年に適格退職年金から企業型確定拠出年金 に移行しており、その際に会社が退職金制度へ拠出する割合が、退職一時金50% 企業型確定拠出年金50% と変わりました。
いづれにしてもご自身の会社の就業規則を確認したほうがよいでしょう。
退職一時金はいくら
私の場合はポイント制でしたので、私の勤めていた企業の場合でお話しします。
地方 小売り 地元ではそこそこ有名な企業 創業40年くらい
退職一時金は就業規則によると、
退職一時金 = 退職金ポイント × 退職金単価 ※退職金ポイント=役職 × 在籍期間
役職ごとにポイントが決まっています。
偉くなるほどポイントは高いです。私の職歴に当てはめてみると下記の通りです。
2001~2003年 21~23歳:営業職1 店舗 10ポイント
2004~2005年 24~25歳:営業職2 店舗 20ポイント
2006~2008年 26~28歳:営業職3 店舗 仕入職1 バイヤー 30ポイント
2009~2012年 29~32歳:仕入職2 バイヤー 40ポイント
2013~2019年 33歳~39歳:専門職 課長 50ポイント
2020~2021年 40~42歳:管理職 部長 70ポイント
先の計算式に当てはめると、退職金ポイントは
= (営業職1:10ポイント×3年)+(営業職2:20ポイント×2年)+(仕入職1: 30ポイント×3年)+(仕入職2:40ポイント×4年)+(専門職:50ポイント×7年)+(管理職:70ポイント×2年)
=810ポイント
そして、退職一時金 = 退職金ポイント × 退職金単価
退職金単価は見直しされることもあるそうですが、私の場合は5000円でしたので
退職一時金 = 810ポイント × 5,000円 = 405万円
ということです。
21年勤めてこんなものです。
無駄使いしないで質素に暮らしたとしても家族3人で2年はもたないですね。
ほぼ年功序列ですから長く務めた方が偉くなるので、その分退職一時金は多くなります。
途中で退職する場合は在籍期間が短くなるので、当然退職一時金も少なくなります。
あー、少ない。わかっていても気持ちが沈むものです。
退職一時金にかかる税金
退職金には、受け取り方に応じた税金がかかります。
「退職所得」として、所得税と住民税が課税されます。
ただし、退職金は長年の勤労に対する報償の意味もあることから、課税額が大きくなりすぎないように退職所得控除が適用され、税負担が軽くなるようになっています。
勤続年数が長くなるほど控除額は増えるため、 長く勤めた人とって有利になる設計になっています。個人的には長く務めることが美学だった時代の考え方のままだと感じます。
勤務先で源泉徴収がされるよう手続きをおこなえば、原則として確定申告をする必要はありません。
課税対象になる退職金の金額の計算は、次のように行います。
- 課税対象になる退職金の金額
= (退職一時金金額(源泉徴収前の金額)−退職所得控除額)×1/2
- 退職所得控除額
=勤続年数20年以下…40万円×勤続年数
=勤続年数20年超…800万円+70万円×(勤続年数-20年)
私の場合は勤続年数21年でしたので、
退職所得控除額= 800万円+70万円×(勤続年数21年-20年)=870万円 です。
つまり、退職一時金は405万円なので870万円以下となり、無税です。
企業型確定拠出年金があった!
退職一時金があんなものなのかとくじけていてはいけません。
まだ、確定拠出年金があります。
先に計算した退職金405万円と同額の拠出をしていました。
だいたい毎月20,000円くらいです。これは個人の運用いかんで増えたり減ったりします。
ドルコスト平均法の考え方で行けば最終的には増えるのではないかなと思います。
私の場合は外国株40%日本株35%貯蓄型25%で運用していました。
途中、運用商品や金額を変えながらですが、リーマンショック、アベノミクス、コロナショックなどを乗り越え、現在では405万円の積み立てが600万円になっています。
ただ、このお金は年金ですから60歳までは引き出せません。
今まで会社が拠出していた(そうは言っても自分の給料の一部ですけど)企業型確定拠出年金から、自分で拠出する個人型確定拠出年金(iDeCo)への移管をしなければなりません。
退職金は結局いくら?
退職で私の手元に来たお金は、退職一時金405万円+ 確定拠出年金 600万円 =1005万円 ということですね。 確定拠出年金の運用益195万円を除くと810万円です。
退職金の平均相場ですが、卒業後すぐに入社し同一企業に定年で退職するまで勤務した場合2511万円だそうです。
そして勤続20年で自己都合退職した場合の退職金の平均相場は801万円だそうです。(りそな銀行 起業年金ノートより https://www.resonabank.co.jp/nenkin/info/note/)
そう考えると平均くらいもらえていたということになりそうです。
個人型確定拠出年金 iDeCo に移管する
会社員を辞めて個人事業主になる場合は、もう会社のお世話にはなれませんので年金保険を切り替えなければなりません。
- 厚生年金・国民年金第2号被保険者 → 国民年金第1号被保険者
- 企業型確定拠出年金 → 個人型確定拠出年金(iDeCo)
二つの切り替えを行います。
老後にもっと年金が欲しい方は国民年金基金を追加してもいいかもしれません。
私はそんなに先の事ばかりにお金を使いたくないので、最低限の国民年金と iDeCo だけで、国民年金基金には入ってはいません。
厚生年金・国民年金第2号被保険者 から 国民年金第1号被保険者への切り替えについてはこちらでも取り上げています。
- 企業型確定拠出年金 → 個人型確定拠出年金(iDeCo)
企業型確定拠出年金の加入者資格の喪失と資産の移換手続きが必要です。
今まで企業型確定拠出年金に加入しており、退職して国民年金の第1号被保険者(個人事業主等)になったときは、企業型確定拠出年金の資産を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移す手続きが必要になります。移管後、掛金を拠出することができます。
iDeCoの掛金は所得控除の対象で税金がかからないことや、企業型DCと同様に運用益非課税・受給時の控除適用等、税制上のメリットがあることでも知られています。
■iDeCoのメリット
- 掛金は全額所得控除の対象
- 運用益も315%の税金が非課税
- 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象 一時金は「退職所得控除」の対象
- 自分の判断で掛金の拠出を停止し、運用だけを行う「運用指図者」に変更可能
- 掛金額は月々5,000円から1,000円単位で選択できる
- 自分の好みの金融機関を選べる
金融機関(運営管理機関)は証券会社や銀行などですが、それぞれ手数料や商品の品揃えに差がありますので、どこを選ぶかが運用を続けていくうえでの大きなポイントです。
■iDeCoのデメリット
- 原則60歳になるまで資産を引き出せない
- 通算加入者等期間に応じて受給できる年齢が引き上がる場合がある
- 自己負担のため、運用成績が悪いと企業型よりも資産が目減りする可能性が大きい
このように税制優遇制度はありますが、金融機関によっては手数料が高く、将来的に受け取る金額が少なくなるリスクもあります。
企業型でやっていたときは会社負担なのでおまり気にしていませんでしたが、この手数料が結構差があります。個人でやるとなればなおさらこの辺には気を使いたいものです。
2024年から始まる新NISAはiDeCoの代わりになる?
新NISAは、
- 一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の併用が可能
- 年間投資上限額が最大360万円に拡大
- 生涯非課税限度額が最大1,800万円
- 非課税保有期間に期限無
新NISAを利用する際に、iDeCoをどうするかという考えがでてきます。
どちらがオトクなのか、いいとこどりで併用できるかなど、考えていかなければならないでしょう。
個人的にはいつでも売却ができて、いつでも資産の引き出しができるNISAに軍配です。
iDeCo に加入する
希望する金融機関に申し込むだけです。
こちらのサイトで取引金融機関の比較ができますので、比較するのに便利です。
自分の将来の受取額がどうにでも変わるのでよく比べることをお勧めします。
iDeCoナビ 運営:特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会
https://www.dcnenkin.jp/search/
やはり手数料の負担の少ないネット証券がだんぜんお勧めです。
毎月の積立にかかる手数料はネット系なら171円ですが、銀行系だと500円を超えるところもあります。毎月500円払う意味が分かりません。
またネット系であれば加入や手続きもネットで完結します。
画面の指示にしたがって、必要事項を記入し、確認書類をアップロードすると審査をしてくれます。
その後数週間でIDとパスワードが発行されますので、そうしたら運用商品を指示して運用の開始です。
- 10年を超える運営実績 加入者数No.1
- だれでも運営管理手数料が無料
- 多様な運用商品ラインナップ
- いつまでも運営管理手数料が無料
- ロボアドバイザーの5つの質問に答えるだけで最適な運用プランをご提案
- 充実の運用サポート 土曜日受付
- 運営管理手数料が0円で安心!
- 業界最多水準“40種類”の商品ラインナップ
- 創業100年の歴史と実績
まとめ
- 退職金には退職一時金と企業年金の二つがある
- 退職一時金の算出方法は就業規則で確認すべし
- iDeCoで運用して増やす
ありがとうございました。