時間を自由に使える個人事業主の特権です。
ネットショップを運営していく中で、社用車(兼自家用車)のカーポートとちょっとした在庫品を置けるようなスペースが必要になってきました。
ネットショップの運営は一日中忙しいわけではなく、結構暇な時間もあります。そこで、もともと好きなDIYでカーポートを作ることにしました。
カーポートが欲しい
我が家は2017年にBESSのワンダーデバイスという規格住宅を購入しました。黒のガルバリウムの四角い外観に一目ぼれです。
この外観を損なわないようなカーポートも併せて探していましたが、あまり気にいったデザインがなく諦めていました。
そんな中でも、候補に挙がったのがリクシルのSCというカーポートです。我が家が出来上がった後に発売されたようで、もう少し早ければこれを建てていたかもしれません。黒いガルバリウムの我が家と相性もよさそうです。
屋根材はアルミ材なので光は入ってきません。
建設予定地は家の東側ですので、このSCでは家に光が入らなくなってしまいます。かといって、光を取り込むポリカ―ボネートの透明なものは好みではありません。
我が家の地域は、夏厚く、冬は雪が積もります。
冬は道路までの雪かきをするので、車の雪下ろしはそんなに苦になりません。しかし、夏の暑さは車のボディ表面を熱々にしてしまい、毎夏車によくないなと感じておりました(2台所有しておりますが、1台は黒、もう1台は天井のみが黒)
つまり、我が家のカーポートは雨や雪を遮ることよりも、
- 家に光を取り込む
- 太陽の日差しから車を守る
が主目的となります。
この相反する「光を取り込みながら、日差しから車を守る」を実現できるのは普通なら透明のポリカーボネート製のカーポートです。
しかし、好みではないのです。
なければ作ってみるか
そんな訳で既製品を選ぶのはあきらめて、自分で作ろうと考え始めました。
ネットで色々探してみると、海外の事例だと思いますがこんなのが出てきました。
このアイデアを拝借しました。これなら「光を取り込みながら、日差しから車を守る」を実現できそうです。しかも、開放感とリゾート感も得られそうです。
この写真では柱に頑丈な金属製のものを使っていますが、入手しやすく加工の自由度が高い木材を利用することにします。ただ、柱として建てただけではシェードの張力に耐えられるか不安なので、柱と柱同士をつなぐ桁をつけて格子状にして強度を出します。
図面作成と必要部材出し
Excelで簡単な図面を書きました。
奥行11.4m 幅3.0m 高さ2.8m シェード3.0m×3枚
巨大なパーゴラのような木製カーポートのようなイメージです。
全部で4つの立方体があって、道路側の3つはシェードがついてカーポートになります。残りの1つには屋根と壁をつけてガレージになります。
この図面をもとに必要な部材と数量を書き出していきます。
部材 | 規格 | 数量 | 単価 | 金額 | 備考 |
シェード | 3000×3000mm | 3 | 4380 | 13140 | ポリエチレン UVカット 遮光性 通気性 |
スプリングフック | ステンレス | 12 | 525 | 6300 | シェードとプレートをつなげるフック |
アイプレート | ステンレス | 8 | 525 | 4200 | スプリングフックを柱に着けるプレート |
角柱 杉 | 75×75×3000mm | 23 | 1580 | 36340 | 細い見た目で75角採用 プレーナー材 |
2×4サポート 角 | 4 | 358 | 1432 | 2×4材連結金具 75角も可能 角の接合 | |
2×4サポート 平 | 6 | 328 | 1968 | 2×4材連結金具 75角も可能 桁の接合 | |
金折 | 22 | 358 | 7876 | 柱・桁・梁の接合と補強 | |
ステンレスビス | ステンレス | 2 | 498 | 996 | 200本以上使用 |
羽子板付き束石 | 高さ150mm | 9 | 598 | 5382 | 柱の基礎 |
コーチスクリュー | ステンレス | 9 | 158 | 1422 | 柱と羽子板付き束石の接合 |
基礎パッキン | 9 | 125 | 1125 | 柱と束石の間に挟む 柱の腐食防止 | |
モルタル | インスタント | 1 | 548 | 548 | 束石の固定 水をかけるだけで固まる |
路盤材 | 1 | 298 | 298 | 束石の沈下防止 モルタルの下に | |
ツインカーボ | 910×1820×4mm | 5 | 1980 | 9900 | ガレージ部分の屋根 中空ポリカ |
ダクトテープ | 10m | 2 | 598 | 1196 | ツインカーボの接続 耐候性があるもの |
ポリカ用傘釘 | 90本 | 1 | 398 | 398 | 交換を考えて釘をビスに替えて使用 |
軒樋 | 3600mm | 1 | 2618 | 2618 | 横方向の雨樋 |
竪樋 | 2700mm | 1 | 2288 | 2288 | 縦方向の雨樋 |
集水器 | 105 | 1 | 1097 | 1097 | 軒樋と竪樋をつなげる |
エンドキャップ | 105 | 2 | 198 | 396 | 軒樋の両端に着けるキャップ |
雨樋受け金物 | 105 出なし | 4 | 198 | 792 | 軒樋を屋根側と接合する金物 |
垂木 赤松 | 45×35×4000mm | 6 | 1133 | 6798 | ガレージの屋根の受け プレーナー材 |
垂木 赤松 | 45×35×3000mm | 6 | 840 | 5038 | カレージの壁の柱・間柱 プレーナー材 |
野地板 杉 | 170×10×2000mm | 15 | 568 | 8514 | ガレージの壁 プレーナー材 |
木材含浸塗料 | ノンロット 3.5L | 1 | 7635 | 7635 | ナチュラルオーク |
合計 | 127,767円 | ※工具など自前 |
これらをホームセンターで購入していきました(シェードと塗料だけは楽天)
近年のウッドショックの影響で木材が一か所で揃わなかったので、町中のホームセンターを回ってかき集めました。この調達だけで1週間かかりました。
ここまで、調査→構想→図面→部材出しまでで2週間くらいです。
いよいよ製作
■基礎
路盤材→モルタル→束石→基礎パッキン→角柱の順で建てていきます。
- 束石を設置する場所を測定して、束石の分の深さを掘り、すべての束石同士が水平になるように調整します。これを束石9個分やりました(1つは隣地境界にあるフェンスの基礎を流用したため不要)
- 全束石間の水平が取れたら、路盤材を敷いて、束石を置いて、再度水平を確認してからインスタントモルタルを束石の周りにふりかけます。あとは水を撒くと硬化しますので、一日ほど待って固定が完了します。
- 硬化したら基礎パッキンを敷いて、柱を建ててビスで仮止めしておきます。
コーチスクリューは全ての梁、桁がついてから最後につけました。ビスだけでは柱が不安定ですので、高さがある場合は特にコーチスクリューやボルトで固定した方がいいです。
■柱・桁・梁の接合
木を継ぐ技術(継ぎ手)は持ち合わせていませんので、金物を駆使して接合します。
2×4サポートという便利な商品が販売されていますので、角の部分と桁同士をつなぐ部分に使用していきます。金物を使っているので強度はあると思うのですが、コスト高になってしまいました。下手に素人が継ぎ手をやるよりも、2×4工法のように金物で接合する方がよっぽど安心できる気がします。
金具の黒は家の外壁の黒に合わせました。
塗料を塗った木材の色といいコントラストです。
このノンロットという塗料は木材に浸み込んで、表面には塗膜を作らない為、木の呼吸を妨げず、木目をいかしたまま防腐することができます。我が家はこの柱はもちろん、ウッドデッキ、ウッドフェンス、ベランダなど全てノンロットを使用しています。
■シェード取付
柱にアイプレートを取り付けて、そこにスプリングフックを使ってシェードを固定します。
シェードはけっこう目が詰まっていますので水が溜まらないように傾斜をつけておきます。
シェードは日よけとしての機能はもちろんですが、雰囲気がいいのでとても気に入っています。
ウッドデッキの日よけにも同じシリーズの三角形のものを使っています。
■ガレージ製作
シェード用の桁に垂木をかけて、透明の中空ポリカを載せていきます。
垂木の間隔は455mmにすることで、中空ポリカ910mm幅を3本の垂木で受けるようになります。母屋無で反対の軒桁まで3000mm飛ばしています。
中空ポリカ同士はダクトテープでつなぎました。
このテープは水道配管の修理にも使われるもので、耐水性、耐候性があります。防水両面テープを使う、アルミ板を使う、ポリカ同士を重ねるなど色々な方法があるようですが、フラットな見た目にこだわってシンプルにテープのみです。屋根自体に20%近い勾配をつけてありますので雨漏りの心配は少ないです。
垂木を受ける軒桁を渡し、その下に野地板で板壁を作りました。
これで外からの雨と視線を遮り、ひとつの空間が出来上がりました。大型の機材や子供の自転車を置くのに使っています。
野地板の下には合板や防水シートなどはなく、下地の木材に打ち付けてあるだけです。時間経過で野地板が収縮すると隙間ができると思いますが、あまり大きな隙間であれば対策を考えていきます。
隣地境界の屋根には雨樋を設置しました。雨樋の勾配は目分量ですが5%くらいです。今のところ雨はしっかり流れていきます。
2階から見ると巨大なパーゴラが3つ並んでいるように見えます。カーポートっぽくないイメージにうまく仕上がりました。
ここまででさらに2週間かかりました。構想から完成まで約5週間です。毎日作業していた訳ではなく、本業の合間の時間を見つけて作業しました。
まとめ
- やればできる!
- 時間の有効活用で仕事も遊びもメリハリが出る。
- 唯一無二の製作物は満足!
ありがとうございました。
2022年12月
中空ポリカの継ぎ目から雨漏りが発生しました。
そして、その雨は下に落ちるだけでなく、中空状の中にも入り込んでしまいました。
継ぎ目に使っていた耐候性のテープは紫外線にやられてボロボロになっていました。
そもそも中空ポリカの重なりを作らずにテープで止めるという発想がダメでした。今はコーキングで処理しています。