私の人生の大きなターニングポイントとなった、42歳での会社退職について記していきます。
世間一般的に「退職」というと少しネガティブな響きがあるかもしれませんが、自分の中での気持ちは会社からの「卒業」です。
入社から直近までの20年間にわたる会社勤めの歩みについては、まずこちらの記事をご覧いただけると、このあとの話がより分かりやすくなると思います。
ターニングポイント:このままサラリーマンでいいのか?

40歳の時に企画部門の部長になってからというもの、前例のない新しい施策に取り組むことが多かったので、毎日のように夢中でプロジェクトを進めていました。しかし、少し時間が経つと、心のどこかで小さな違和感を覚えるようにもなりました。
今振り返るとよく分かります。22歳の頃に持っていた「自分の店を持ちたい」「世界中から面白いものを仕入れたい」「おいしいコーヒーでも飲みながら家具屋をやりたい」という、あの漠然とした夢が心の底から沸々と湧き上がってきていたのです。
もし、あのままバイヤーの仕事をずっと続けていたら、現場の忙しさにかまけて、こんな夢は二度と湧き上がってこなかったかもしれません。部署が変わり、役職が変わって視座が変化したからこそ起きた、自分自身の内面の変化でした。
いつもは石橋を叩いて渡るような慎重派の私ですが、「40代」という年齢が、どうしても人生の大きなターニングポイントに思えて仕方がありませんでした。そうはいっても責任ある立場ですし、すぐに起業の準備ができているわけでもないので、明日明後日にすぐ退職するわけにはいきません。
会社の規定では60歳が定年ですので、42歳の私はちょうど20年勤続したことになります。そこで私は、この「勤続20年」という節目を自分の中の期限(ターニングポイント)として設定し、残りの時間を会社員としての「終活」と、独立への「準備」の時間に充てることにしました。
私のサラリーマン人生において、勤続20年はちょうど折り返し地点。
「今まで働いてきた20年は会社のため。これから働く20年は自分のため」
そう決意したのです。
これからの人生のために選んだのは、起業という選択でした。ベンチャー企業やスタートアップと言われるような、世間一般のキラキラしたものである必要は全くありません。たった一人でできて、自分の夢を叶えながら、家族を幸せにできればそれで十分だと思いました。
まずは本を集中的に読み漁り、頭に叩き込む
決意してからは、まず情報収集を始めました。インターネットでも色々な情報は手に入りますが、画面をずっと見続けるのは意外と疲れるものです。そこでおすすめなのが「本」です。私は一冊買うとだいたい2〜3日で一気に読み切ってしまうのですが、そうすることで独立に必要な知識を集中的に頭に入れることができました。
当時、私の背中を押し、具体的なイメージを湧かせてくれた大切な本たちを紹介します。
一般的に60歳定年と考えると、多くの人はおおよそ40年という長い時間を一つの企業、あるいは組織に委ねることになります。
しかし今は「企業の寿命よりも、個人の労働寿命の方が長い」と言われる時代です。定年まで一社で勤め上げるというモデル自体に、少しずつ限界がきているのではないでしょうか。私がシニアと呼ばれる年齢になる頃には、世間の定年は70歳くらいになっているかもしれません。その点、個人事業主であれば、健康で気力さえあれば死ぬまで自分のペースで働き続けることができます。
退職までの綿密な計画と、あっさりとした決断

いよいよ心の中で退職の最終決断をしたのが2020年12月、42歳になった時でした。そこから「2021年8月末に退職を完了する」という8ヶ月間の計画を立てました。会社の規定では退職の1ヶ月前までに申し出ることになっていたので、最短で7月末日に伝えれば計算上は間に合います。
ただ、小売業はゴールデンウィーク、お盆、年末年始が最大の繁忙期になります。お盆の繁忙期まではしっかり会社に在社して貢献しようと考えました。それと、1〜3月には来期に向けての全社戦略や予算の立案、組織変更の仕事があり、これは部長である私が最後までやり遂げなければならない責任でした。
戦略と予算を社内全体に周知し、組織変更も無事に済ませ、自分が何本も走らせていたプロジェクトも軌道に乗って、忙しいゴールデンウィークが明けた頃。ふと、今まで夢中に取り組んでいた仕事に対して、急に肩の力が抜ける感覚がありました。
部長として、会社人として、自分が計画していた退職までの一通りの仕事がすべて綺麗に済んでしまったのです。「俺にはこの会社で、これ以上やることはやり尽くしたな」と。
そう思えたので、とてもいいタイミングだと感じ、予定を少し前倒しして会社へ退職の申し出をすることにしました。いつもはあんなに慎重派なのに、不思議とこの時ばかりは、自分の中で驚くほどすんなりと決めてしまいました。この会社に入る時と、この辞める時が、私の人生の中で最もあっさりと決断してしまった瞬間だったかもしれません。
妻への告白と、上司との面談

自分の中で決断したあと、ゴールデンウィーク明けに妻へ話を切り出しました。
最初は当然、「急に辞めてどうするの!?」という驚きのリアクションでした。しかし、私のこれまでの働き方を見てくれていたからか、少し経つと「私にわざわざ話すってことは、もう心の中で決めているってことだよね」と、あきらめ半分、理解半分の様子で、最終的には私の選択を承知してくれました。本当に頭が上がりません。
妻の了解も得られたので、2021年5月21日に担当役員に退職の申し出をしました。この担当役員は私の上司なのですが、普段は別の事業所で勤務しており、私がいる地方の事業所に定期的に来ています。ちょうど完了報告しなければならないことがあったので、そのタイミングで事前にアポイントをとってありました。
まずは完了報告が終わり、退職の話をしようと思っていたら私が部長を務めていた企画部の組織の話になりました。
私が作ってきた組織体系と、会社が進んでいこうとするための組織体系が違うとの事でした。組織を作る時(実際には施策や戦略によって新しい課を作ったり、人員を配置したりします)は必ず経営会議(社内の最高決定機関)を通してから実施していました。
それなのに急にそんな事いわれても…という感覚もあったのですが、ビジネス環境はすごいスピードで変わっていくものなので、組織もそれに合わせて変化していかなければならないことは承知しており、その点では理解できるものでした。
何が言いたいかというと、会社の方針には絶対ということです。いくら自分がいいと思っても、正しいと思っても、それは会社の方針や了承が得られた範囲でなければ何もできないということです。つまり横や下を見るのではなく、上を見て「御意」していかないといけないのです。
この時もさらに強く思いました「自分のやりたいことがあるのなら会社に勤めていてはだめだ」と。
退職の申し出

そんな話も終わり、嫌な空気になっている最中でしたがいよいよ本題の退職について切り込みました。

退職することにしました。
沈黙 沈黙 沈黙 ・・・

辞めて他のところに転職するくらいなら、うちで続けた方が絶対にいいと思うよ。

転職ではなくて起業します!

もうやると決めているなら仕方ないね。
決めている人を引き留めることもできないしね。
それでいつ辞めるの?

8月末付けで退職します。
有給消化もあるので実質最終出社は7月上旬になります。

わかった。
後のことは人事へ引き継いでおくよ。
短い会話で終了しました。ついに言ってしまったという興奮と同時に、とてもすがすがしい気分になったのを覚えています。
家に帰ってからは妻にも話しました。妻には事前には退職の話はしてありましたので、ついにやったかという感じでした。興奮状態の為、どんな会話だったかよく覚えていませんが、困った感じではなく、肯定的な内容だったと思います。
退職の申し入れは単独でアポイントを取った方がいいです。私のように報告と混ぜてしまうと変な空気のまま申し入れるハメに。いづれにしても変な空気にはなりますが(笑)
退職時の役員面談
先日の申し入れが金曜日だったのですが、翌火曜日に人事担当役員に呼ばれ面談をしました。

辞めるんだって?

はい。
先日○○役員にお話しさせていただきました。

42歳のおじさんが決めたことだから引き止めないけど。
がんばって生きて行けよ!
○○役員からは引き留めるように言われているけどね。
さすが人事。慣れています。
この方は就職の際に私を採用してくれた方でもあります。昔話も交えて、今までの仕事の状況や心境などを聞かれたので答えていきました。
退職時期については8月末で話してありましたが、7月末にしてほしいと言われました。ちょっと動揺しましたが、一日でも早く退職してスタートしたいこちらの思惑と、やめるなら早くやめてほしい会社側の思惑が合致しましたので受け入れました。この辺はお互いすごくドライです。
退職に関する手続きについても説明を受けました。
- 退職金
- 最終月の給与や社会保険料
- 住民税
- 企業型確定拠出年金から個人型(IDECO)への移管
- 自社株
- 健康保険
- 国民年金
- 会社へ返却するもの
- 退職時に発行される証明書
退職時の仲間たちへの報告
辞令の社内発表が出るのが5月末なので、その前に大切な仲間たちには先に私から報告しておきました。

まじっすか⁉

仲間
えー!!!

さみしいです・・・

仲間
おめでとうございます!
呆然とする人。泣き出す人。
「おめでとうございます!」と言った人は私がFIREしたと思っているようでした。決してそうではないのに…。
みんなありがとう。そして迷惑かけてごめんなさい。
まとめ:次のステップへ進む読者の方へ
40代での退職や独立は、20代の頃の勢いだけの転職とは重みが違います。守るべき家族がいて、生活のリアルな責任があるからこそ、感情だけで動くのではなく、数ヶ月前から「自分の責任を果たし切る計画」を立てて動くことが大切だと痛感しました。
会社を辞めることは、決して終わりではありません。むしろ、これまでの20年間で培った経験という貯金を元手に、自分の人生を自分の手で運転し始めるエキサイティングなスタートです。
- タイミングになったら一気に行く
- 上司への退職の申し入れは単独でアポイントを
- 仲間には全体発表よりも先に伝える





